「パーキングブレーキ、毎回かけるべき?」「オートブレーキだから不要?」
そんな疑問を抱いたことはありませんか?
普段なんとなく操作しているこの機能、じつは車種や場面によって“使いどころ”が変わってくるんです。
この記事では、電動パーキングブレーキと手動式の違いを押さえたうえで、停車時の正しい使い方を坂道や長時間駐車などのシーン別に解説していきます。
パーキングブレーキってどんな機能?
パーキングブレーキ(いわゆる「サイドブレーキ」や「手ブレーキ」)は、車を駐車中に動かないように固定するための装置です。
ブレーキといっても、走行中に使うフットブレーキとは目的が異なり、車輪の動きを物理的に止めて車をその場に固定するための補助ブレーキです。
一般的に、パーキングブレーキは以下のような場面で使用します。
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駐車する時(特に傾斜地など)
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信号待ちなど一時停車(※一部の電動式では自動保持も可能)
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車検時・整備時の安全確保
ちなみに、昔はレバー式の「手ブレーキ」が主流でしたが、近年の車ではスイッチひとつで作動する「電動パーキングブレーキ(EPB)」が増えてきています。
電動タイプと手動タイプの違い
パーキングブレーキには、大きく分けて以下の2種類があります。
手動タイプ(レバー式・足踏み式)
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運転者が手や足で操作する昔ながらのタイプ。
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レバー式(中央にある引き上げ式)や足踏み式(ペダルを踏むタイプ)が主流。
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かけたかどうかが目に見えて分かるのが特徴。
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手動解除を忘れると、走行中に「ブレーキ引きっぱなし」になることも。
電動パーキングブレーキ(EPB)
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スイッチを押すだけで作動・解除できる先進タイプ。
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一部車種では、停車時に自動で作動し、発進時に自動で解除される。
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ヒルスタートアシストやオートホールド機能と連携して、安全性や利便性が高い。
▶注意点
電動式は便利な反面、「ちゃんと効いているか不安」という人もいるかもしれません。ですが、作動はしっかりモーター制御で管理されているため、基本的には安心です。
こんな場面ではパーキングブレーキを必ず使おう
パーキングブレーキは「毎回使うべきか?」と悩む方も多いですが、以下のような状況では必ず使うのが鉄則です。
坂道での停車や駐車
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勾配のある場所では、車が動き出すリスクが高いため、Pレンジに入れていてもパーキングブレーキを併用しましょう。
エンジンを切って車から離れるとき
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たとえ短時間でも、完全に離れる場合は必須です。思わぬ車両の動き出しによる事故を防ぐためです。
強風時や不安定な地面(砂利、雪など)
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車両が揺れたり滑ったりするリスクがある環境では、パーキングブレーキでしっかり固定しておくのが安全。
車検・整備などで車が持ち上げられるとき
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整備士が作業中に車が動くのを防ぐため、パーキングブレーキを使うよう指示されることもあります。
後方に傾いた場所での停車(AT車でも)
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Pレンジに入れていても、パーキングギアに負担がかかるので、ブレーキ併用が安心。
坂道での正しい停車方法と「先にPか?先にブレーキか?」
坂道での駐車や停車は、ちょっとした操作の順番がトラブルの防止に大きく関わってきます。
特にオートマ車(AT車)では、「Pレンジに入れてからブレーキ?」「それとも逆?」と迷う方も多いでしょう。
【正しい順番】
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フットブレーキを踏んだまま停車
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パーキングブレーキをかける
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Pレンジにシフトチェンジ
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フットブレーキを離す
この手順が正解です。
重要なのは、「パーキングブレーキを先にかけること」。
これにより、車の重みをパーキングブレーキが支えるようになり、Pレンジの“パーキングギア”に負担がかかりません。
仮にPレンジを先に入れてからブレーキをかけると、シフトレバーがロックされて動かしにくくなるなどのトラブルにつながることもあります。
「Pレンジだけで止めるのはアリ?」注意すべき理由
オートマ車のP(パーキング)レンジは、車が勝手に動かないように内部のギアでロックする機構ですが、これだけで完全に安心できるわけではありません。
なぜPレンジだけでは危険なのか?
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車の重さをギアに頼る構造
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傾斜のある場所でPレンジだけにすると、車体の自重がギアに集中してしまい、ギアが傷む原因になります。
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さらに、ギアのかみ合わせが強くなりすぎて、「シフトが抜けなくなる」というトラブルも。
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万が一のズレ・揺れに弱い
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地震や強風、乗り降りの振動で、微妙に動いてしまう可能性もゼロではありません。
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その結果、周囲の車や人に接触することも。
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他人の車にも迷惑がかかる
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傾いた駐車場などでパーキングブレーキをかけずに止めると、他の車が出られなくなることもあります。
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結論として、Pレンジだけに頼るのは避け、必ずパーキングブレーキと併用するのが基本です。
電動パーキングブレーキの便利な機能とは
近年の車に増えている「電動パーキングブレーキ(EPB)」には、手動式にはない便利な機能がいくつも搭載されています。ここでは代表的な機能をご紹介します。
オートパーキングブレーキ(自動作動)
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エンジンを切ると自動的にパーキングブレーキが作動する機能。
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ブレーキのかけ忘れを防ぎ、うっかりミスを減らせるのが魅力。
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一部車種では、「Dレンジに入れてアクセルを踏むと自動解除」という設定も可能。
オートホールド機能
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一時停止時にブレーキペダルから足を離しても車が止まり続ける機能。
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信号待ちや渋滞中、足の疲れを軽減できる。
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発進時にアクセルを踏めば、自動でブレーキが解除されてスムーズに走り出せる。
ヒルスタートアシスト(坂道発進補助)
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坂道で停車しても、ブレーキから足を離した直後に車が後退しないよう支えてくれる。
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パーキングブレーキとは別機能だが、併用されることが多い。
電動タイプにはこうした安全性と快適性を高める機能が備わっており、特に運転に不慣れな人や高齢者にとっても心強い味方となります。
長時間駐車や車検時の注意点
パーキングブレーキは日常的な駐車には欠かせませんが、長期間の駐車や車検・整備のときには少し注意が必要です。
長期間の使用で「ブレーキ固着」のリスク
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長い間パーキングブレーキをかけっぱなしにしていると、ブレーキパッドやシューがディスク(またはドラム)に張り付いてしまうことがあります。
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特に湿気が多い季節や雨天後の保管では注意が必要。
▶ 対策:
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数日以上乗らないときは、パーキングブレーキはかけず、タイヤ止め(輪止め)を使うのがベターです(フラットな場所限定)。
車検や整備時には「解除忘れ」に注意
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車を整備工場に預ける際、パーキングブレーキをかけたままだと移動に支障が出ることがあります。
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整備士が解除できる場合もありますが、事前に伝えておくとトラブル防止に。
電動ブレーキは「バッテリー上がり」で作動不能になることも
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電動パーキングブレーキは、バッテリー残量がゼロになると解除できないという弱点があります。
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長期保管時は、定期的なエンジン始動やバッテリーメンテナンスが重要です。
まとめ:パーキングブレーキは“安全の基本”
パーキングブレーキは、「坂道のためのもの」ではなく、すべてのドライバーにとって必要な安全装備です。
手動式でも電動式でも、適切な使い方を知っておくことが事故防止や車のトラブル回避に直結します。
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電動タイプと手動タイプには操作や機能に違いがあるが、目的は共通
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坂道や傾斜地では「Pだけ」ではなくブレーキ併用が正解
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正しい順序(「ブレーキ → Pレンジ」)で停車すれば、ギアや車に負担をかけない
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長期間の駐車時には固着防止の工夫も必要
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電動式にはオートホールドや自動解除機能など、便利で安全なサポート機能が満載
ちょっとした意識で、クルマの寿命も安全性も変わってきます。
「たかがブレーキ」とあなどらず、しっかり止めることで安心もきちんと確保しておきましょう。