クルマのクリープ現象
「クリープ現象」とは、オートマチックトランスミッションや、一部の電動車(EV)やハイブリッド車において、ニュートラルではなく、ドライブ(D)やリバース(R)の位置にあるとき、ブレーキを踏んでいない状態で車がゆっくりと前または後ろに動く現象のことを言います。
オートマチックトランスミッションにおけるクリープ現象は、トルクコンバータの設計に起因します。トルクコンバータは、エンジンからのパワーをトランスミッションに伝える際、一定量の流体摩擦を利用します。車が停止しているときでも、エンジンが回転していれば、この流体摩擦によりトルクコンバータは常に少量のトルクをトランスミッションに伝達します。その結果、ブレーキが解除されると、車はゆっくりと動き出します。
電気自動車やハイブリッド車のクリープ現象
電気自動車やハイブリッド車では、クリープ現象は通常、ソフトウェアによって意図的にプログラムされます。これは、ドライバーが従来のガソリン車と同様の運転体験を得られるようにするためです。特に、坂道での停車や発進がスムーズに行え、運転がしやすくなります。
信号待ちのクリープ現象
オートマチック車に乗られている方にお尋ねします。
信号待ちや、渋滞の待ち時間にもよるかと思いますが、シフトレバーは「Dレンジ」に入れたままにしておきますか?それとも、「Nレンジ(ニュートラル)」にして待ちますか?
それには正しいとか、間違いだという答えはないのですが、クルマへの負担と追突の危険性を考えると、Nレンジ(ニュートラル)にしてブレーキペダルを踏んで待っていた方が追突のリスクを回避できると考えます。
「Dレンジ」でブレーキペダルを踏む力が少しでも弱まるとクルマが動き出してしまいます。またエアコンを使っている場合、アイドリング回転数が上がることがあります。そうなると更に強くブレーキペダルを踏まないといけません。
私の経験なのですが、「Dレンジ」でブレーキペダルを踏み、信号待ちをしていたとき、運転席の足元にモノを落としてしまいました。ブレーキペダルを踏んだままそれを拾おうとしたら、クリープ現象でクルマが動き出してしまいました。体勢を変えたことでブレーキペダルを踏む力が弱くなったのでした。早く気が付いてクルマを止めましたが、気が付いていなかったら赤信号で交差点に進入していたかもしれません。
まとめ
クリープ現象は、停車と発進を繰り返す交通状況での運転の疲れを軽減するという利点もあります。しかし、運転手は常に車の制御を意識しておく必要があり、特に狭いスペースでの運転や駐車時にはブレーキペダルから足を離した際の予期せぬクルマの動きに注意が必要です。