バッテリーの機能
クルマのバッテリーは直流12ボルトのものが使用され、エンジンルーム内に配置されています。プラス端子は車両の電子部品へ繋がれ、マイナス端子は車体に繋がれアースされています。
主な機能は二つあります。
エンジン始動用電力供給
エンジンを始動する際に必要な電力を提供します。エンジンがかかるまでの間、バッテリーが必要な電力を供給し、スターターモーターを回転させます。
電子機器への電力の供給
ライト、エアコン、オーディオ機器、パワーウィンドウなどの動作に必要な電力を供給します。エンジンが停止しても、バッテリーが電力を提供し、これらの機器を作動させます。
バッテリーの充電と放電
バッテリーへの充電
バッテリーはエンジンが回転することで、発電機(オルタネーター)によって充電されます。ただし、アイドリング状態では十分に充電されません。ある程度の走行時間が必要です。
バッテリーからの放電
エンジンをかけるにはセルモーターに相当な電流が必要です。瞬間的にバッテリーから相当な電流が放電がされます。また、エンジンがかかっても、アイドリング状態ではバッテリーには十分に充電されません。ある程度エンジンの回転数を上げないと充電されません。また、エンジンを掛けない状態でも電子機器は作動するため、バッテリーから放電される一方になります。
バッテリーの種類
バッテリーの種類
- 鉛酸バッテリー:静かに一般的に使用されるバッテリー。耐久性が高く、低コストで製造可能。
- 浮動型(Flooded):液体の電解液が含まれる伝統的なバッテリー。
- AGM(Absorbed Glass Mat):ガラスマットで電解液を吸収させたタイプ。高出力で、振動にも強い。
- ゲルセル:ゲル状の電解液を使用。振動や温度変動に強い。
- リチウムイオンバッテリー:軽量で高容量を持ち、電気自動車やハイブリッド車に使用されることが増えている。
形式・記号の意味
バッテリーの上や側面には、多くの記号や形式が記載されています。これらの情報はバッテリーの性能や仕様を示しています。
- CCA(Cold Cranking Amps):0°F(約-18°C)でバッテリーが供給できる最大電流。スタート時の性能を示す指標です。
- Ah(アンペアアワー): バッテリーが1時間に供給できる電流量。 バッテリーの容量を示します。
- RC(Reserve Capacity):完全に充電された状態で、25アンペアの電流を供給し続けることができる時間です。
- CA(クランキングアンプ):32°F(約0℃)でのスタート時に供給できる最大電流をあらわします。
- グループサイズ: バッテリーの物理的なサイズや端子の位置を示す番号です。
バッテリーのメンテナンス
バッテリーには「メンテナンスフリーバッテリー」と「普通バッテリー」があります。
メンテナンスフリーバッテリーと通常のバッテリーとの主な違いは、構造的な設計にあります。 メンテナンスフリーバッテリーは、プラスチック容器がしっかり密閉されているため、電解液の水分(希硫酸)がほとんど蒸発しない特徴があります。
メンテナンスフリーバッテリー
メンテナンスフリーバッテリーは、液の交換や比重の確認はできませんが、多くの場合、点検用のインジケーターが備わっており、そこに充電不足や液不足が表示されます。メンテナンスフリーであっても、定期的な点検が必要です。
普通のバッテリー
普通のバッテリーの場合、UPPER(上)とLOWER(下)のレベルの間に電解液があるか確認する必要があります。この際、6つの電槽をすべて確認する必要があります。化学変化によって希硫酸に含まれる水分が蒸発すると、電解液が減少し、バッテリーの性能が低下します。減少した場合は、カー用品店等で入手できる補充液または精製水を、バッテリーの上部フタから補充します。また、電解液の「比重」(充電状態を表す数値)を点検する必要があります。
バッテリーの寿命と負担を掛けない使い方
バッテリーの寿命
クルマのバッテリーの寿命は、そのタイプや使用条件、維持管理の状況によって大きく異なりますが、一般的な目安を以下に示します。
- 鉛酸バッテリー
- 浮動型(浸水):約3〜5年
- AGM(吸収ガラスマット):約4〜7年
- ゲルセル:約3〜6年
鉛酸バッテリーの寿命は、定期的なメンテナンスと適切な使用に大きく依存します。過放電(バッテリーの電力が驚くほど低下すること)や、高温環境、当面の使用なし(放置)、過充電は、バッテリーの寿命を短縮する可能性があります。
- リチウムイオン電池:約6〜10年リチウムイオンバッテリーは、他のタイプに比べて寿命が長い傾向がありますが、高温環境や過充電、完全放電はどうしても必要があります。 特に、電気自動車やハイブリッド車用のバッテリーは、特別な管理が求められますされる場合があります。
バッテリーの寿命を最大限に延ばすためには、以下のような点に注意することが重要です:
- 定期的な点検:バッテリーの充電状態や端子の音声を定期的にチェックします。
- 適切な使用:短距離の運転のみであればバッテリーが十分に充電されず、寿命が短くなる可能性があります。
- 適切な保管:意図しない使用の場合は、バッテリーをフル充電した状態で、涼しく乾燥した場所に保管します。
各バッテリーの寿命はいずれも平均的な数値であり、上記のような維持管理の状況や使用条件によって前後します。 バッテリーのパフォーマンスが落ちた場合や、エンジンの始動がおかしくなった場合は、専門のショップや整備士にご相談することをお勧めします。
例として、エンジンをかけた時、セルモーターが「キュンキュンキュン」と勢いよく回ればバッテリーは元気です。バッテリーが弱っている時は「グー、グー・・・グゥ」という感じです。あと、アイドリング状態でヘッドライトを点けたときにライトが暗くなるようだとバッテリーが弱っていると考えられます。
バッテリーに負担を掛けない使い方
クルマの使いかた次第でバッテリーが十分充電されるか、放電気味になってしまうかが決まってしまいます。一例をあげると、長距離を走る場合と 短距離を繰り返し走るような場合です。長距離を走る場合は一度エンジンをかけてしまえば、長時間長距離を走りますから、十分充電されます。
一方、市街地など信号機の多いところで、ストップ&ゴーを繰り返すと充電が間に合わず、放電が上回ってしまいます。
また、雨の日の夜間走行では、ヘッドライト、ワイパー、曇り止めのためにエアコンなど電装品を多く使わないと安全性が保てません。
このような走り方は、レジャーであるとか、仕事で使うとか、クルマの使用目的によって決まってしまうことでもあるので、致し方ないですね。
それでも、普段の使い方でバッテリーに負担をかけない方法を紹介しましよう。それはエンジンをかけない状態では電気機器を使わないことです。エンジンキーがACC、ONの位置にあると、パワーウィンドウ、空調ファン、オーディオ機器などを作動することができます。これらの機器を作動させるときは必ずエンジンを掛けてからにしましょう。電力消費が大きい装備のひとつとして、リヤガラスに貼られた曇り取りの熱線(デフォッガー)です。一度使って曇りが取れたらすぐにOFFにしましょう。(自動的にOFFになるタイマー付きの仕様もあります)
まとめ
アイドリングストップ機能付きのクルマが圧倒的に増えています。一回の走行でどれだけエンジンをかけているのか・・・バッテリーにかかる負荷も考えられた設計になっていると思いますが、寿命は短くなっていると耳にしました。バッテリーも性能が高くなっています。それと同時に価格も高くなっています。少しでも長くもってもらいたいものですね。