「ドライブレコーダー(ドラレコ)は今や必須の安全アイテム!」――そう感じている人は多いはずです。煽り運転や交通トラブルのニュースが増える中で、ドラレコを取り付ける車が急増しています。しかし、ここでふと疑問が浮かびませんか?
「なぜ新車には最初からドラレコが標準装備されていないんだろう?」
この記事では、そんな素朴な疑問に答えるべく、標準装備化されていない理由や、自動車メーカーの現状、今後の見通しまでわかりやすく解説します。これから車を購入する方や、ドラレコの取り付けを検討している方にも役立つ内容です。
ドラレコの重要性と普及の現状
ここ数年、ドライブレコーダーは「あったら便利」から「なくては不安」な装備へと変わってきました。その背景には、交通事故や煽り運転、予期せぬトラブルが増加している社会的な流れがあります。
ドラレコが果たす役割
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事故時の証拠確保:
運転中の状況を録画し、万が一の事故の際に客観的な証拠として役立ちます。 -
煽り運転・危険運転の抑止力:
ドラレコが付いていることで、後続車などに「見られている」という意識を与え、トラブルの抑制効果が期待されます。 -
駐車中の監視:
当て逃げや車上荒らし対策として、駐車監視機能付きのモデルも普及。
普及率の上昇
国土交通省や各種調査によると、ここ数年でドラレコの普及率は大きく上昇しています。一部の調査では、自家用車の約5割がドラレコを装着しているというデータも出ており、今後も増加が見込まれています。
社会的背景
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煽り運転の厳罰化(2020年改正道路交通法)
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交通事故の高齢化問題
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SNSやニュースでのドラレコ映像の注目
こうした背景から、ドラレコは「安心・安全を守る装備」として定着しつつあります。
このように、ドラレコの重要性はますます高まっていますが、それでも標準装備化はまだ進んでいないのが現状です。
なぜ標準装備されていないのか?理由を解説
これだけ普及し、重要視されているドラレコですが、多くの新車ではまだ標準装備になっていません。その理由を詳しく見ていきましょう。
1. 法的義務がない
現在、日本ではドラレコの装着は法的に義務付けられていません。自動ブレーキやバックカメラのような安全機能は法律で義務化が進んでいますが、ドラレコは「証拠保存」の装置に過ぎず、法令上は必須の装備ではないのです。
そのため、自動車メーカー側も「必ず付けなければならないもの」とは考えていません。
2. ユーザーのニーズが多様
ドラレコには、前方のみ・前後カメラ・360度カメラ・駐車監視機能付きなど、機能や価格が非常に幅広い特徴があります。
ユーザーによって求めるものが違うため、「一律でこれを標準装備」と決めると、「もっと高性能が欲しい」「この機能はいらない」といった不満が出やすいという事情もあります。
3. コストの問題
高性能なドラレコを標準装備とすると、車両本体価格が上がってしまうリスクがあります。
車は「基本グレード」「上級グレード」など幅広い価格帯で展開されるため、メーカーとしてはドラレコはオプション設定で対応し、価格を抑える方針が多いのです。
4. アフターマーケットが充実している
カー用品店やネット通販では、ドラレコのラインナップが非常に豊富です。さらに、取り付けも比較的簡単なことから、後付けするユーザーが多いのが実情です。
メーカー側としても、「純正でなければならない理由が少ない」という見方があり、市場に任せている部分が大きいと考えられます。
このように、法律やコスト、ニーズの多様性といった複数の理由が、新車に標準装備されない背景となっています。
自動車メーカーの現状と取り組み
ドラレコの標準装備化は進んでいませんが、多くの自動車メーカーが「純正オプション」や「安全パッケージ」の一環としてドラレコを取り扱うようになっています。
純正オプションの充実
トヨタ、ホンダ、日産、スバルなど主要メーカーでは、新車購入時にドラレコをオプションとして取り付けられる体制が整っています。メーカー純正のドラレコは:
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車のデザインに合わせたスッキリした装着
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ディーラーでの保証が付く
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他の安全機能(自動ブレーキなど)と連携するモデルも
といったメリットがあります。
安全パッケージへの組み込み
近年では、「先進安全パッケージ」の一部として、ドラレコを含むケースも増えてきました。例えば:
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スバルの「アイサイト」シリーズ
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ホンダの「Honda SENSING」
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日産の「プロパイロット」パッケージ
などで、ドラレコを選べる仕様が一般的になっています。
一部標準装備の例も登場
特に高級車や一部の特別仕様車では、前方カメラが標準装備されている例も見られます。海外メーカー(メルセデス・BMWなど)では、地域によっては標準装備が進んでいる場合もあります。
このように、完全な標準装備化はまだ少ないものの、メーカー側も確実に対応を強化している段階といえるでしょう。
ドラレコの今後の動向
ドラレコはここ数年で急速に普及しましたが、今後さらに重要性が増すと考えられています。その見通しと動きをいくつか紹介します。
1. 標準装備化の可能性
現時点では標準装備が一般的とは言えませんが、今後の安全基準が見直されれば、ドラレコの標準化が進む可能性は高いです。特に:
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煽り運転や事故防止のための証拠能力の重視
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自動運転車との連携(記録機能の強化)
などが進めば、義務化や標準装備化の動きが本格化するかもしれません。
2. 海外の動き
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韓国: 一部でドラレコ装着が半義務化され、保険料が割引になる仕組みが進んでいます。
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欧州: EDR(イベントデータレコーダー)義務化が進行中で、将来的にドラレコと一体化する可能性があります。
日本でも、こうした海外の事例を参考にした動きが出てくることが予想されます。
3. 法改正の見通し
日本政府は、煽り運転の厳罰化などを背景に、より安全性を高めるための法整備を進めています。今後、「一定の条件下でドラレコ設置を義務化」する可能性も取り沙汰されています。
4. 技術の進化
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360度カメラ、AI解析機能、クラウド保存など高機能化が加速しています。
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自動運転技術と連携し、リアルタイムで情報を記録・解析するシステムも登場しており、ドラレコの役割はさらに広がる見込みです。
今後、標準装備の動きは徐々に進むと考えられますが、それまでの間はユーザー自身が積極的に備えることが重要です。
自分で取り付ける際のポイント(おまけ)
ドラレコは、カー用品店やネットショップで購入して自分で取り付けることも可能です。ここでは、DIYで取り付ける際に注意したいポイントを紹介します。
1. 取り付け位置の確認
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前方カメラ:
ルームミラー裏が基本。法律で「フロントガラス上部20%以内」に設置する必要があるので、視界を妨げない位置を確認しましょう。 -
後方カメラ:
リアガラスの中央が基本。ワイパーの範囲内に付けると、雨の日も映像がクリアです。
2. 電源の取り方
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シガーソケット:
最も簡単で、工具なしでも取り付け可。ただし見た目がゴチャゴチャしやすい。 -
ヒューズボックス:
見た目をスッキリさせたい場合は、ヒューズボックスから電源を取る方法も。多少のDIY知識が必要です。 -
OBD2ポート:
エンジンの診断コネクタから電源を取る便利な方法もあります。
3. 配線の取り回し
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内装のすき間(ピラー・天井など)に沿わせて配線すると、見た目がきれいになります。
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リアカメラの取り付けは、ハッチバック車はケーブルの取り回しに時間がかかることもあるので要注意。
4. 注意点
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ガラスの熱線(リアウインドウの曇り取り線)を傷つけないよう慎重に作業する。
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SDカードは定期的にフォーマット&動作確認を忘れずに。
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初期設定(日時設定など)もきちんと確認しましょう。
DIYで取り付けるとコストを抑えられますが、不安がある場合はプロにお願いするのが安心です。安全のためにもしっかり確認しながら作業してくださいね。
まとめ
ドラレコは、交通トラブルや煽り運転が増える中で欠かせない安全アイテムとなっています。しかし、現在のところ新車に標準装備されるケースは少なく、その理由として:
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法的義務がない
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ユーザーのニーズが多様
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コスト上昇を抑えたいメーカー側の事情
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アフターマーケットの充実
などが挙げられます。
それでも、メーカーの純正オプションや安全パッケージ化は進んでおり、将来的な標準装備化も視野に入ってきています。安全意識が高まる中で、今後の動向にも注目が集まるでしょう。
現時点では、自分に合ったドラレコを選び、必要に応じてDIYまたはプロに取り付けを依頼するのがベストな選択肢です。あなたのカーライフを守るためにも、早めの装備を検討してみてくださいね。