ある日、車に戻るとフロントガラスに駐車違反のステッカーが…そんな経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか。
違反切符を見て慌てて警察署に出頭しようとしたとき、
「出頭すると処分が重くなるらしいから、行かない方がいいよ」
なんて話を耳にしたことはありませんか?
一方で、出頭しなければ「後々もっと面倒になる」と不安になる人も多いと思います。
果たして、本当に出頭しない方が得なのか?それとも必ず出頭すべきなのか?
この記事では、
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駐車違反後の手続きの流れ
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出頭した場合としなかった場合の違い
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点数や反則金の扱いの違い
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「出頭しない方が得」という噂の真相
をわかりやすく解説していきます。
正しい知識を持っておくことで、無用なトラブルを避け、適切に対応できるようになります。
駐車違反に関する疑問をここでスッキリ解消しましょう。
駐車違反とは?基本をおさらい
駐車違反は、道路交通法で定められている違法な駐車行為です。
まずは、その基本的な種類や取り締まりの流れを確認しておきましょう。
1. 違反の種類
駐車違反には主に2つの種類があります。
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駐停車違反
→ 一般的な「駐車・停車禁止場所」での違反。
たとえば、交差点の近くや消火栓の周囲など。 -
放置駐車違反
→ 運転者が車から離れており、すぐに移動できない状態での違反。
平成18年の改正道路交通法で強化され、放置違反金制度が設けられています。
2. 取り締まりの流れ
現在、駐車違反の取り締まりは、民間の駐車監視員が実施しているケースが多いです。
流れとしては次のようになります。
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違反を確認
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「放置車両確認標章」(黄色いステッカー)を貼付
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警察署に情報が送られる
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車両の持ち主(使用者)に通知が届く
ここで重要なのは、車両のナンバーから持ち主が特定されるという点です。
そのため、たとえ運転していた本人が出頭しなくても、車の所有者(または使用者)が責任を問われる仕組みになっています。
3. 罰則と処分
駐車違反に対する罰則には次のものがあります。
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反則金(出頭した場合)
運転者が違反を認めて警察署に出頭した場合は、反則金を納める形になります。 -
放置違反金(出頭しなかった場合)
運転者が不明のままの場合、車の持ち主に放置違反金の納付命令が届きます。
これらは似ていますが、違反点数の扱いや罰則内容が異なるため、次の章で詳しく見ていきます。
出頭するとどうなる?
駐車違反をして警察から通知が届くと、多くの人は「すぐに出頭しなければ!」と考えます。では、実際に出頭するとどのような手続きや処分が行われるのでしょうか。
出頭時の手続き
警察署に出向くと、まずは違反内容の確認が行われます。次に、違反を認める場合は以下の流れになります。
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交通反則告知書が交付される
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反則金の納付書を受け取る
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決められた期間内に反則金を納付
この時点で、違反は「反則行為」として処理されます。
違反点数の加算
出頭して違反を認めた場合、運転者本人の違反点数に加算されます。例えば、
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放置駐車違反:違反点数 2点
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駐停車違反:違反点数 1点(※違反の種類により異なる)
これにより、免許更新時の条件(ブルー免許・ゴールド免許)にも影響が出ることがあります。
ゴールド免許への影響
違反点数が加算されると、たとえ軽微な違反でもゴールド免許(優良運転者)からブルー免許に格下げされる可能性があります。特に、更新直前に違反してしまうと影響が大きいため要注意です。
反則金の額
反則金は違反の種類や場所により異なりますが、放置駐車違反の場合はおおむね1万5千円~2万円程度です。反則金は、違反点数とは別に支払う義務があります。
出頭のメリットとデメリット
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メリット
・法律上の責任を果たすことができる
・その後の追加的なペナルティが発生しない -
デメリット
・違反点数が加算される
・ゴールド免許を維持できなくなる可能性がある
出頭しない場合の扱い
駐車違反の通知を受け取ったあと、出頭しない場合はどうなるのでしょうか。意外と知られていない「車両の使用者責任」についても含めて解説します。
放置違反金の通知
出頭しない場合、警察は車両のナンバーから持ち主(車両の使用者)を特定し、
**「放置違反金納付命令書」**を郵送します。
この放置違反金は、出頭した場合の反則金と金額的にはほぼ同等ですが、
法律上は車両の使用者が支払う義務として扱われます。
車両の使用者責任
駐車違反の取り締まりは、
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運転者が誰か不明な場合 → 車両の使用者に責任が課せられる
という仕組みになっています。
つまり、出頭しなくても違反そのものが「なかったこと」になるわけではなく、車の持ち主が責任を負う形になります。
違反点数はどうなる?
放置違反金制度は、あくまで車両の持ち主に対する行政処分です。
このため、
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出頭しない(放置違反金を支払う)場合 → 違反点数は加算されません
これが「出頭しない方が得」と言われる理由のひとつです。
督促・差押えのリスク
もし放置違反金の支払いを無視し続けると、
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督促状の送付
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財産(預貯金など)の差押え
といった強制執行が行われる可能性があります。放置違反金は税金と同じような扱いで厳しく取り立てられるため、支払いを無視するのは危険です。
出頭しない場合のメリットとデメリット
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メリット
・違反点数が加算されないため、ゴールド免許などに影響が出にくい -
デメリット
・放置違反金の支払い義務は残る
・滞納すると督促・差押えのリスクがある
・「逃げた」と見なされると心証が悪くなることも
「出頭しない方が得」という噂の真相
駐車違反をした際、「出頭しない方が得だ」と耳にしたことがある人は多いかもしれません。この噂の背景には、いくつかのポイントがありますが、単純に得か損かで判断するのは危険です。
点数が加算されない仕組み
出頭しない場合、放置違反金を支払うことになりますが、この制度では違反点数が加算されません。これは、違反点数が「運転者」に対して科されるのに対して、放置違反金は「車両の使用者」に科されるものだからです。
このため、
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出頭 → 反則金 + 点数加算
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出頭しない → 放置違反金のみ(点数なし)
となり、免許の点数が減らないことが「得だ」と言われる理由です。
ゴールド免許への影響
反則行為として点数がつくと、ゴールド免許の条件(5年間無事故・無違反)がリセットされますが、放置違反金だけであれば点数がつかないため、ゴールド免許の維持に影響しにくいというのもメリットとして語られています。
安易に鵜呑みにしてはいけない理由
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放置違反金を無視すると、最終的に財産差押えなど強制執行の対象になる
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出頭しないことで、違反歴が完全に「なかったこと」になるわけではなく、車両の違反歴として記録が残る
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法的には「使用者責任」が問われるため、逃げきれるわけではない
さらに、会社の車両などで違反をした場合、放置違反金が会社に請求されることで、信用問題や職場での立場に悪影響が及ぶケースもあります。
判断する際の注意
「出頭しない方が得」という考え方は、たしかに一部は事実ですが、
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放置違反金は必ず支払う義務がある
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点数は逃れられても、金銭的負担は残る
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信用や心証も含めて考える必要がある
という点を踏まえ、安易に選ぶべきではないことがわかります。
実際どうするのがベスト?
「出頭したほうがいいのか、それとも出頭しないほうがいいのか?」――これは多くの人が迷うポイントです。ここでは、法律上の視点や実際のリスクをふまえて、どう対応すべきかを考えてみましょう。
法的な観点からの対応
まず大前提として、駐車違反は道路交通法違反であり、違反した事実があれば、法律上の責任を果たすことが求められます。出頭することが最もオーソドックスな対応で、法律上もスムーズに手続きが進みます。
出頭するべきケース
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今後の信用を重視したい場合
会社の車両や家族の車を使用している場合は、放置違反金の請求が車両の所有者に届きます。迷惑をかけないためにも、自分で責任を取るのが無難です。 -
違反を認めてすぐに解決したい場合
後回しにせず、早めに手続きを済ませたほうが、精神的にも安心です。 -
反則金で済ませられる違反である場合
軽微な駐車違反なら、反則金と点数加算で済み、大きな負担にはなりません。
出頭しないのが検討されるケース
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点数を絶対に付けたくない場合
免許更新直前でゴールドを維持したいなど、どうしても点数を加算したくない事情がある場合は、放置違反金だけを支払う方法を選ぶ人もいます。
ただし、この場合も必ず放置違反金は期限内に支払う必要があります。無視した場合のリスクは非常に高いので注意が必要です。
ゴールド免許を守りたい人へのアドバイス
ゴールド免許を維持したい場合は、
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点数が付かない「放置違反金」の扱いを理解しておく
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しかし、法的な責任を果たす意識は忘れない
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安易な判断はせず、場合によっては弁護士などに相談する
といった慎重な姿勢が大切です。
再犯防止のポイント
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駐車場を事前に確認しておく
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短時間の停車でも駐車禁止区域には置かない
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駐車監視員がよく巡回しているエリアでは特に注意
「二度と駐車違反をしない」という意識を持つことが、結局は一番の対策です。
まとめ
駐車違反後の対応については、「出頭したほうがいいのか」「出頭しないほうが得なのか」など、さまざまな情報が飛び交っています。この記事では、
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駐車違反の基本的な種類と手続き
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出頭した場合の手続き内容とペナルティ
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出頭しない場合の放置違反金の仕組み
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「出頭しない方が得」という噂の真相
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実際にどう対応するのがベストか
を詳しく解説しました。
確かに、出頭しない場合は違反点数が加算されないという特徴があり、「得をする」と感じる場面もあるかもしれません。しかし、放置違反金の支払い義務は免れませんし、支払わないと財産差押えなどのリスクが発生します。
また、信頼性や長期的な影響を考えれば、自分の責任としてきちんと対応することが最も安全な方法です。迷ったときは、警察署や法律の専門家に相談することも一つの方法です。
結論としては、単純に「得か損か」で判断するのではなく、自分の状況に応じた冷静な判断を心がけることが重要です。